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ニュージーランドの事故補償制度ACCとは?~NZ在住個人事業主として働く場合の保険基礎知識~

  • 執筆者の写真: Aya
    Aya
  • 9月20日
  • 読了時間: 9分
ニュージーランドのACC制度に関する画像。キウイ鳥と傘、けが人、交通事故のイラスト。背景に緑の風景。テキストが含まれる。

ACCとは?ニュージーランドの事故補償制度ACCの概要

ニュージーランドには、ACC(Accident Compensation Corporation)と呼ばれる事故補償制度があります。日本の国民健康保険のように、ニュージーランドに住んでいるすべての人は、年齢関係なく加入している事故補償制度です。


ACCの対象には就労中、失業中もしくは退職している人など、労働状況に関係なくすべてのニュージーランド居住者が含まれます。また、ニュージーランドを訪れる旅行者も事故補償の対象になっているのも特徴的です。


ACCのビジョン「Tōnui Ake Nei | Thriving Aotearoa」


ACCは「Tōnui Ake Nei | Thriving Aotearoa」というビジョンの基に運営されています

。Tōnui(トーヌイ)はマオリ語で「繁栄」、Ake Nei(アケネイ)は「増大する、上昇する、非常に重要なもの」という意味です。


すべての人々とそのコミュニティが価値ある生活を送れるよう、協力して取り組む未来というビジョンのもとに、ニュージーランドで働く人はACC Levyと呼ばれる税金の支払い義務があるのです。


もっと詳しく知りたい!という方は、ACCのWhat we doページをご確認ください。


ACCの保険でカバーできる範囲


ニュージーランドの事故補償制度・ACCには、傷害の影響を受けたニュージーランドのすべての人々の予防・怪我のケア・回復に重点を置くことで、日々の生活を改善するという目的が掲げられています。


事故補償制度という名称から分かるとおり、補償の対象はあくまでも事故によって被ったケガにのみ補償されます。病気や高齢化による症状、精神的な症状には適応されません。


事故によるケガの治療費、自宅や職場でのサポート、収入の補助などが含まれ、回復にかかる費用が補償されます。私のような個人事業主でも、万が一交通事故などでケガをしてしまい、数ヶ月働くことができなくなった…という場合に、その期間の収入補助や治療費がカバーされるため、非常に心強い補償制度です。


緑の車とオレンジの車が交通事故。信号機の下で衝突し、煙が出ている。緊張感のあるシーン。

ACCが徴収している税金は何に使われているのか


ACCのウェブサイトには、徴収された税金がどのような内容・サービスに使われているかが明記されています。


①収入の損失

ACCが補償する傷害により就労不能となった場合、収入の最大 80%が支払われます。

②治療とリハビリテーション

徴収された税金は、治療費、 医療機関の受診費、リハビリテーションプログラム、回復に役立つ機器の費用に充てられます。

③日常生活の支援

ACCは、ニュージーランドのすべての人の日常生活を支援するために賦課金(Levy)を活用しています。例えば、育児、在宅介護、学校や職場への交通費などです。 

④怪我の予防

傷害が起こる前に、それを防ぐための傷害予防プログラムにも課税が使われています。


このように税金がどのような形で使われているのか、何に使用されているのかが簡潔に分かりやすく記載されているのは好印象ですね。


ACCのウェブサイト・What your levies pay for?というページで詳細をご確認いただけるので、ぜひ目を通してみてください。




ニュージーランドの個人事業主(フリーランス)とACC保険制度

私はニュージーランドの永住権を取得しており、現在個人事業主(フリーランス)として働いているのですが、年間で支払っている税金は今回のACCと所得税、自動車税の3つがメインです。

日本の場合、社会保険・雇用保険・健康保険のほか住民税など税金の種類も多く、各サイトも文字ばっかりで非常に分かりづらいため、日本と比べると実にシンプルで分かりやすいと感じています。


ニュージーランドで個人事業主(フリーランス)として働く場合は、Self EmployeeもしくはSolo Traderという区分に属します。今回はニュージーランドの個人事業主という立場から、実体験を基にACCの支払いタイミングや金額感などをご紹介します。


個人事業主が支払う税金、ACC Levy


ニュージーランドの個人事業主、いわゆる自営業者の場合、ACCは自動的にCover Plusと呼ばれるACCのプランに加入します。私もニュージーランドに移住してNZBNと呼ばれる事業登録番号を取得した後、特に追加の申請などはせず、自動的にACCに加入されたという手紙が紙面で届きました。

NZBN取得方法については、こちらの記事もご覧ください。👇


基本的に、ニュージーランドに住んでいると「Real Me」と呼ばれるアカウントを作成し、そのアカウントに税金・ビザなどの役所関連の情報が紐づいています。日本のマイナンバーのような仕組みと似ているかもしれませんが、すべてオンラインで管理されているので、管理がとても楽です。


ACCもReal Meのアカウントでログインができます。ログイン画面にはMyACCとMy ACCfor Businessの2つが上部に表示されますが、私はMyACC for Businessの方からログインします。個人事業主(自営業者)と被雇用者(会社の従業員)では異なる面があるので、ログインに失敗した場合はMyACCかMyACC for Businessのどちらにアカウントを作成しているのかを確認してみてください。


(私も間違えてMyACCにログインしてしまい、アカウントが登録されていないというエラーで焦ったことがあります…)



オンラインサービスのロゴと、パソコンを操作する男性が描かれた画像。男性は穏やかな表情で、作業に集中している。
ニュージーランドの事故補償制度ACCのログイン画面



ニュージーランドの個人事業主向けの標準補償


ニュージーランドの個人事業主が自動的に加入するCover PlusというACCのプランには、「事故に遭い就労できなくなった場合、直近の会計年度に基づいて課税所得の最大80%を補償金として支払われる」という標準補償があります。


ACCのCover for self-employed(自営業者向けの保険)というページには、具体的な例が記載されています。


For example, if you earn $52,000 per year on CoverPlus you'd get up to 80% of that each week, which is $800 before tax. Weekly compensation payments start a week after your injury, and we’ll also help cover the cost of your treatment and rehabilitation. 例えば年間52,000ドルの収入がある場合、毎週その最大80%、つまり税引き前の800ドルを受け取ることができます。 毎週の補償金の支払いは負傷の1週間後から始まり、治療費やリハビリ費用も補助します。 ACC Cover for self-employed (https://www.acc.co.nz/for-business/understanding-your-cover-options/types-of-cover-for-self-employed)より引用・翻訳

ACCのウェブサイトではCover Plusと記載されていますが、実際のACCのアカウント画面では、Standard Coverという名称で登録されていました。


自己雇用の保険ポリシー設定画面。青いバナーにCoverPlus Extraの説明。標準カバーと雇用状況の詳細が表示。

任意でCover Plus Extraという上位のプランへの加入も選択できます(要追加料金)。

CPXとも呼ばれており、こちらはACC番号を持っていれば加入申請ができます。詳しくはACCのCoverPlus Extra (CPX)というページをご確認ください。


🔗ACC - CoverPlus Extra (CPX)


幸いなことに私はニュージーランドに移住してからまだ一回も事故には遭っていないため、実際にACCから事故補償制度をもらったことはありませんが、万が一の保険としてどのような補償がカバーされるのか、支払いをきちんとしているかをご自身で確認することをおすすめします。


ACC Levyの支払いタイミングと金額


ACC Levy(事故補償制度のための税金)は、毎年一回決まった時期に請求書が届き、オンラインで支払いを済ませます。


ニュージーランドのACCの支払いはいつ?


私の場合、ACCの請求書の前に、まず事前通知メール(今年もACCの支払いをしてね~という予告)が8月下旬に届きました。


カフェの背景で女性が笑顔。左上に「Help us get your upcoming levy invoice correct」のテキスト、下部に請求書の詳細情報。
ACCから来た事前通知メール

今年のACCの支払いはいつ頃請求されるのか、アカウントの登録内容に変更がないかの確認、報告されている所得(収入)金額がどれくらいなのかといった情報が記載されており、ACCの支払いタイミングとおおよその金額が予測できるため、この事前通知メールは非常に親切だなと感じました。


個人差はあるかもしれませんが、私の場合9月17日頃に請求書が届くよと記載されており、実際9月17日ぴったりに請求書がメールで届きました。


支払い期限は10月23日だったので、約1ヶ月ちょっとの期間が支払うまでに用意されています。私は請求書を受け取った翌日にオンラインで支払いを済ませました。


オンラインで支払う場合、支払先のアカウント名・番号・Payee Code・Ref(リファレンス番号)がインボイスに記載されているので、その情報を入力して銀行口座から振込ができます。


アカウント名とアカウント番号は毎年同じなので、私はビジネス口座の支払先に登録しています。Payee CodeとRefは毎年違ったので、インボイス(請求書)の支払先情報をよく確認して対応しましょう。


ACCの金額はどのくらい?


ACCで支払う金額は、ACCのウェブサイトのEstimate your levyというページで概算金額を算出できます。なお、こちらで入力した情報は保存されないと明記されているので、安心して利用できます。



業種を選択し、業務内容を検索するオンラインツールのスクリーンショット。青いボタンに「Go」と「Search」のテキストあり。

ニュージーランドではCU(Classification Unit)と呼ばれる業種コードがあり、それに基づいてACCの徴収額が計算されるようです。CUはACCのインボイスに記載されているほか、NZBN(ビジネス番号)を取得するときにご自身で選択されていると思います。


自分のCU、業種がどの番号かは、Business Industry Classification Codeのウェブサイトで検索できます。


BICC - Find your Business Industry Classification Code


Estimate your levyのページでCUとACCのインボイスに記載されていた収入金額を入力して概算を出してみた金額と、実際にACCから請求された徴収金額を比較してみると、事前に概算で出てきた金額より若干安い金額が請求されました。差分は20ドルちょっとだったので、かなり精度が高めだったという結果になります。


ACCの金額を事前に知りたい方は、ぜひACCのサイトで概算金額を算出し、計画的にACC用の資金を用意しておくことをおすすめします。


まとめ・ニュージーランドで個人事業主として安全に働くために


ニュージーランドは世界でも有数のビジネスを開業しやすい国として知られています。フリーランスになるのはオンラインで申請を出すだけなので、とても簡単ですが、フリーランスとして長く働いていくためには、万が一の備えや税金に対する知識がかかせません。


特に、2025年現在、ニュージーランドはリセッション(景気後退)の影響をモロに受けており、沢山の人が失業したり非常に厳しいジョブマーケットが続いています。


今回ご紹介した事故補償制度は、事故によるケガのみ補償対象となっていますが、個人事業主だからこそリスクヘッジや複数の選択肢、保険を持っておくことが大切です。


税金や保険に関する情報は難しい内容に見えますが、ニュージーランドではほとんどのウェブサイトで丁寧に解説されており、ブラウザから見ていれば日本語に翻訳することもできますので、こまめにチェックして最新情報をご自身で確認することをおすすめします。


🔗ACC(ニュージーランドの事故補償制度) ウェブサイト


マイペースに、でもしっかりと自分の人生に責任をもって、今後もLITTLE FUJIというビジネスを運営し、ニュージーランド在住のフリーランスデザイナーとして頑張っていきたいです(/・ω・)/




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